クリスチャン パートナーズ
通信 第36号
発行日/1998年 7月25日
静かな声援―新年度の開始にあたって―
理事長 草野計雄
クリスチャンパートナーズが支えている児童の数は6月末で51名に達し、今までにシンガポール事務所から紹介されていた児童全員に里親が付くことになりました。
早速その旨を報告すると、新たに5名のカードが送られてきました。全員ロバン村の子供たちです。
里親の付いている児童の数は、同じ6月で比較すると、1995年45名、96年51名、97年49名とほぼ横這いですが、わずかでもこの増加に励みを感じています。
昨年の7月から今年の6月までの1997年度には、新理事会の発足、宮澤・鳥海両理事の西カリマンタン訪問、インドのミゾラム州の養護施設に対する静岡の「サンタの会」の支援効果の確認、田園調布教会のご支援など、会員皆様のご協力により活動の幅を拡げさせていただきました。
新年度の過大も、現在の活動に新しい意気を入れて皆様の声援に応えていく以外にはありませんが、中でもロバン村における非常に困難な宣教・福祉活動に従事しているヤップ牧師夫妻の支援を具体化し、上級学校への進学奨学金計画の検討を進めるなどに留意していきたいとお思います。
「ヘルモン子供の家」の少女たち |
教会や諸団体との関係を緊密にし、米国・英国・カナダ・オーストラリア・シンガポールなどのパートナーズインターナショナルと効果的に情報を交換する方法を開発することなどは、諸条件の成熟を祈りつつ対応していくことになろうかと思います。
英国のパートナーズインターナショナル本部で10月に行われる国際会議には、理事長と岩崎理事が出席する予定です。
シンガポール事務所の責任者ポール・チャン師夫妻が、米国への途上、9月29日―30日に成田を通過されるので、理事たちでお出迎えしようと計画しています。
新しい一年も、皆様の変わらぬご支援をお願いいたします。
静岡≪サンタの会≫インドの養護施設を援助
草野計雄
海野登光氏は、理事長と同じ静岡一番町教会員で、アウトドアスポーツの用具店を経営され、スキー・登山・カヌーなどの指導をしている方です。
「ヘルモン子供の家」女子寮 |
海野氏が同好の方々に声をかけて≪サンタの会≫を組織し、一年半程前からクリスチャンパートナーズの活動に協力してくださることになったのは、当会の監事宮本昭子さんのご紹介によるものです。
≪サンタの会≫は、昨年理事長が視察したインドのミゾラム州にある養護施設に関心をもたれ、20名の会員が月一口500円の援助をしてくださることになり、インドにおけるパートナーズインターナショナルの活動を担当しているカナダを経由して、昨年度合計20万円を現地に送ることができ、お礼の手紙が届きました。
新しい英語の先生 |
ミゾラム州については通信第27号で報告しましたが、「ヘルモン子供の家」と名付けられた施設には現在160名の孤児たちが収容されています。
ヒンズー教国インドの中で、ミゾラム州は人口90%がプロテスタント、識字率もニューデリーについで高いのですが、孤児を利用する悪と貧困は根絶できないようです。
カナダから届いた現地の宣教報告によると、インド社会で孤児が自立するためには不可欠な英語の中等教育を、今までは資金不足で与えられなかったところ、日本からの援助で授業開始の可能性が見えてきたとのことです。
授業に興じる少年たち |
我々には理解困難な社会構造や宗教思想をもつインドで、ミゾラム州はキリスト教宣教の基地として、将来明るい社会の建設のために力を発揮する地域と考えられます。
「ヘルモン子供の家」のための1口500円の援助がインドのへ辺境でこのような励ましになっていることを知るのは感動的です。
クリスチャン パートナーズ 1997年度決算
1997年7月1日~1998年6月30日
収入の部 | 前年度 繰越 | 2,264,197 | (単位円) |
SAC援助金 | 2,674,000 | 注1 | |
その他援助金 | 535,000 | 注2 | |
雑 収 入 | 4,537 | ||
合 計 | 5,477,716 |
支出の部 | SAC援助金 | 1,860,000 | 注3 |
同労諸団体協力 | 203,000 | 注4 | |
緊急援助金 | 0 | 注5 | |
進学奨励金 | 0 | 注6 | |
広報・通信費 | 376,539 | 注8 | |
複写機購入 | 294,420 | 注8 | |
事務経費その他 | 74,009 | ||
合 計 | 2,807,965 | ||
次年度繰越 | 2,669,75 |
(積立・準備金を含む:緊急援助20万、進学奨励金10万。
前年度比各々10万、5万増)
注1 里子数は97年6月49名、98年6月51名。誕生日・クリスマス祝金を含む。
注2 ≪サンタの会≫からの30万円を含む。
注3 ほぼ予算通り。
注4 ミゾラム養護施設へ20万、在インドネシア後藤公子宣教師支援会会費3千円。
注5 ロバン村教会敷地取得交渉は不成立。
注6 進学奨励金制度の導入はシンガポール事務所と研究中。
注7 新リーフレット千部、「通信」32~35号制作費。
注8 デジタル複写機を、販売会社のご好意により安価に購入。
* 理事の現地訪問、その他海外での行事参加費用は個人負担。
監査報告書 今回1997年7月1日より1998年6月30日に至るクリスチャンパートナーズの会計年度の監査をいたしましたところ、諸援助金の受領・領収書の発行・台帳記帳、並びに援助金の海外送金・諸経費支払いの証拠書類・台帳記帳及び理事会に対する報告者・年度決算等は何れも正解且つ適切に処理されており、予算は諸状況に応じて、会の趣旨に沿って適切に運営されていることを認めました。 会員の皆様の一層のご協力をお願い致します。 1998年7月14日 |
クリスチャン パートナーズ 1998年度予算
1998年7月1日~1999年6月30日
収入の部 | 前年度 繰越 | 2,669,751 | (単位円) |
SAC援助金 | 2,692,000 | 注1 | |
その他援助金 | 500,000 | 注2 | |
合 計 | 5,861,751 |
支出の部 | SAC援助金 | 2,044,000 | 注3 |
同労諸団体協力 | 300,000 | 注4 | |
緊急援助 | 200,000 | 注5 | |
進学奨励金 | 100,000 | ||
広報・通信費 | 200,000 | ||
事務経費その他 | 100,000 | ||
合 計 | 2,944,000 | ||
次年度繰越 | 2,917,751 | 注8 |
(積立・準備金を含む:緊急援助合計30万、進学奨励金合計20万。)
注1 54人×4000円×12ヵ月+10万円(誕生日・クリスマス祝金)
注2 昨年度実績とほぼ同額。
注3 54人×3000円×12ヵ月+10万円(誕生日・クリスマス祝金)。
注4 安海師関係のインドネシア宣教活動へ5万、ミゾラム関係に20万、新規5万。
注5 ロバン村関係15万、パートナーズインターナショナルからの緊急要請に5万。
注6 SAC終了後の主として高校進学以上を対象。現在研究中。
注7 「通信」年4回発行、ホームページ開発5万。
注8 繰越金20万増加。
SAC会員の異動 (通信 第32号 1997年7月掲載以降、敬称略・アイウエオ順)
新入会者:熊井秀憲・よしみ、藤川多喜子、南谷行宏
退会者 :大石治子、清水明美、平野良子
【2001年は国際ボランティア年】と決定
松 本 繁 雄
ボランティア活動に対する世界的な関心の高まりの中で、1997年11月20日の国連総会は、21世紀の最初の年を【国際ボランティア年】(INTERNATTONAL YEAR OF VOLUNTEERS:IYV-2001)とすることを決議しました。この国連決議の背景には、IAVE(国連ボランティア活動推進協議会)を中心とした多くの国際的ボランティア関連団体が、国連が【国際ボランティア年】を宣言すべきであると提唱しつづけてきた努力があります。国連ボランティア名誉大使の中田武仁さんも、その提唱者の一人で、日本政府を最初の公式支持表明に導いたのは同氏の提案によると報じられています。
この案は、日本を含め59カ国が共同提案国となって、国連経済社会理事会にはかられ、そこで全会一致で採択され、国連総会に付議されて上記の決議となったものです。
(中田武仁さんは、1993年、カンボジアで国連ボランティアとして選挙監視活動中に死亡された中田厚仁さんの父上です。)
ボランティア活動推進を世界的に高揚するために、国連は1985年に【国連ボランティア・デイ】(INTERNATIONAL VOLUNTEER DAY-IVD)を制定しており、各国で多くのボランティア団体がこの日を記念していろいろなイベントを行っています。
IYV-2001を昨年宣言したことで、これからの3年間が各国政府、国連機関、NGO、地域団体などが協力して、2001年へ向けてボランティア活動の認知、基盤整備、ネットワーキング等を促進する重要な期間となり、2001年を一年だけの行事やお祭りに終わらせず、その後の継続的な取り組みにつなげることが期待されています。
IVY-2001は、世界各国が現在直面している多くの深刻な問題の解決のために、それぞれの国や地域で行政、企業、ボランティアが手を組んでパートナーシップで対応しなければならないことを、国連が確認したものと言えます。
21世紀を真にボランティアの時代として迎えようではありませんか。
(松本理事は、IAVE日本の理事として奉仕されています。)
本 『南の祖国に生きて ―インドネシア残留日本兵とその子供たち―』
上坂冬子著 文芸春秋者 1997年 1600円
本書は副題に示されているように、太平洋戦争終戦時、さまざまな事情から帰国を断念してインドネシアに留まった旧日本兵のその後の苦難の歩みと、半世紀の間に育った働き盛りの二世たちの活躍ぶりを描いたルポルタージュである。
残留日本兵士の多くはそのままインドネシア独立戦争に参加し、独立後は英雄としてインドネシア社会に受け入れられ、その後経済的に成功した人も多い。
本書は、そうしたいわば後半生に恵まれた残留兵士たちへのインタービューを中心に構成されているが、これら成功者たちの話からも、激動の名で異国に生きてきた彼らの歩みが苦難に満ちたものであったこと、生きて終戦を迎えながら独立戦争で倒れたり、日の当たらぬまま異国で生涯を過ごした数多くの残留兵士がいたことを我々は思い知らされる。
元兵士たちが作った「福祉友の会」の活動についても、本書でおおくのページが割かれているが、インドネシア全土に散らばっている、今や老い、病の床に伏す人も多い残留兵士たちへの相互扶助の核となっているその活動は、彼らの同士的な絆の強さを、読者に心温まる想いで感じさせてくれる。
年月の流れの中で残留兵士たちも高齢化し、その数は減少の一途をたどっている。
彼らが血と汗で築いた日系インドネシア人としての信用(独立戦争の功績でインドネシア国籍を取得できた)を、さらに拡大しようと活躍するその二世たち、本書の後半は彼らに焦点を当てた明るい将来への展望である。
「福祉友の会」の役員もすべて二世になったという。
ひるがえってインドネシアの現状を見ると、経済的な破綻とスハルト大統領の失脚などの混乱が相次ぎ、その行き先は予断を許さない。
経済的に成功した華僑系の人々は国民の不満の対象となり、襲撃が各地で繰り返された。
日系社会はまだ微々たるもので、混乱に巻き込まれることはなかろうが、苦難の中で築き上げた彼らの営みが平安であることを祈りたい。
岩 崎 俊 夫
ロバン村教会の敷地購入の件 ヤップ牧師からの要請に応えて、日本からも特別資金援助を決定していましたが、長い間連絡の取れなかった地主には売る意志がなくなったようで、法外な値段を言ってきたため、断念したとのことです。 そのかわり、あと5年間借り続けられる交渉が成立したと報告がありました。 |
【理事会報告】第97回理事会は1998年7月17日(金)一ツ橋学士会館で開催。
全会議事録承認。4・5・6月度会計報告承認。1997年度決算報告、宮本監事の監査報告承認。
1998年度予算は一部修正の上承認。今年度で宮本監事辞任、後任監事鈴木初代氏。
通信第36号原案協議、写真等を加え修正の上、7月25日発送予定。
顧問会及びチャン師夫妻歓迎夕食会を9月30日(水)学士会館で開催予定。
第98回理事会は9月24日(木)一ツ橋学士会館で開催予定。
〈編集後記〉インドネシアの激変が、西カリマンタの里子たちや教会関係の人々にどのような影響を与えているのか、情報が何も入らず案じています。
ジョクジャカルタのクリスチャン指導者マランティカ博士から五月に来た手紙では、失業者が増加する中で、神学校・教会の職員たちは海外からの援助で働き続けられるとありました。
近年キリスト教会が急増してイスラム教徒に危機感を与えており、教会堂の焼き討ちやクリスチャンに対する迫害が、社会不安とともに襲ってくる恐怖を伝えています。
暑さのなか、皆様の健康が守られますように祈ります。
(鳥海百合子)