クリスチャン パートナーズ
通信 第40号
発行日/1999年 7月24日
新年度発足にあたり、皆様には理事の推薦にご協力してくださいましてまことにありがとうございました。
新理事会の門出を祝福するかのように、シンガポール事務所のイークさん(SAC責任者)から手紙が届きました。西カリマンタン・ロバン村に住む人々の生活改善を支援したいという私たちの申し出に対する、現地からの具体的な実施案です。
1)ヤップ牧師が計画の実施にあたり、ムンパワからクリスチャンの医師を招いて村民の健康状態を把握する。(ヤップ牧師はシンカワン市の教会の牧師で、郊外にあるロバン村の教会は彼の管轄下にある。ムンパワはシンカワンから70km余南下した町。)
2) この計画はロバン村の貧しい人たちを援けるものであるが、資金が許せば地域の衛生・保険状態を改善するために住民との対話の機会を作り、プログラムを実践したい。
3) 医師には基本的な医薬品の購入について指導し、無料相談に応じてもらう。
4)家々を訪問し、無料診断を行う。
5) ロバン村に医師が不在の時は、スキ牧師(ロバン村教会)が病人を診療所に連れていく。牧師が同伴できない場合でも、本人が指定の診療所で診察を受けられるようにする。
6)この計画では入院・外科治療の費用までは援助できないが、資金に余裕ができれば貧困な病者のための特例も考えたい。
7)3ヵ月毎に会計報告をシンガポール事務所に提出する。
後列左より 鳥海、岩崎、草野道子、宮澤 前列左より 竹澤、草野理事長、森本 |
昨年1月、宮澤・鳥海両理事は現地でヤップ牧師夫妻・スキ牧師に会い、ロバン村の宣教は住民の生活改善への援助・指導が伴わなければ難しいという事情を見聞きして来ました。
その報告に基いて、私たちに出来ることを模索してきた結果です。シンガポールを通じて、7月からロバン村に就き65万ルピア(約1万円)の送金を開始し、この計画を実行に移します。
皆様のお祈りをお願いいたします。
新たな援助の地、インドを尋ねて 2
~西部ラジャスタンと大都市カルカッタ~
理事 岩崎俊夫
前号では、クリスチャンパートナーズの二番目の援助対象地になったインド東部山岳地帯のミゾラム訪問について報告しましたが、今回はそれに先立って訪れたインド西部のラジャスタン州と東部の大都市カルカッタについてご報告しましょう。
ラジャスタン州はパキスタン国境にかけてのインド西部に広がる、日本の本州ほどの大きさの広大な州です。
そのかの部分は荒涼とした乾燥地で、ミゾラムとは対照的なインド的な風景が広がっています。
私たち(クリスチャンパートナーズのカナダの姉妹団体グループ)は、首都ニューデリーからバスで8時間ほどかけて州都ジャイプールに着きました。
ジャイプールは中心部の町並みが全てピンク色の建物で整えられているためピンク・シティと呼ばれ、観光地になっています。私たちがこの地を訪れたのは、ラジャスタン・バイブル・インスティテユート(RBI)を訪問するためでした。
RBIは、宣教者と恵まれない環境の人々への奉仕活動をする人々を養成する学校であると同時に、奉仕活動のセンターであり、また活動者の基地となっています。カナダのパートナーズはこのRBIの活動にも援助をしているのです。
RBIの現地活動家たち(PBI資料より) |
ジャイプールに到着した翌日私たちはRBIを訪れ、心尽くしの手料理をいただきながら、RBIの創設者であるアナンド・チャウダリ博士の話を聞き、また在学中の人々と話し合いました。
チャウダリ博士はヒンドゥ教の名門祭司の家に生まれいったんは自らも祭司になりましたがその後キリスト教の信仰に入り、牧師となった人です。
そして彼は1975年にRBIを創設し、とりわけインドの農村地帯で貧困や因習の束縛に悩む人々への伝道と奉仕に尽力してきました。RBIで訓練を受けて人々はラジャスタン州を中心にインド全国に散って宣教と奉仕に当たっており、3年後にRBIに戻って心身を休めながら研修に励み、また任地に戻っていくそうです。
ラジャスタン州は宗教紛争の多いインドでもとくに各宗教の間の緊張が高いところで、ヒンドゥ教徒とイスラム教徒の間の紛争がしばしば起きているだけでなく、少数のキリスと教徒に対する迫害もかなりあるようです。
現地の活動を経験したRBI出身者と話し合ってみると、共同体意識の強い農村部では、たとえばキリスト教徒とは口を利かない運動などが大々的に行われており、活動する宣教者・奉仕者の苦労は大変なものですが、彼らが未来に希望を持って明るく問題に立向っていることに私は感動しました。
RBIが今熱心に取り組んでいるのは識字運動と、貧困と因習に苦しむ女性や子供たちの心身を支えることです。
過半数の人々が字を知らない農村部で人々に字を教え、またカ-ストに基く差別に苦しむ人々や因習に縛られる女性に、親身になって相談に乗り越える彼らは、地域にある多くの障害を着実に乗り越えつつあるようです。
建設予定地で説明するチャウダリさん(右端) |
翌日私たちは、さらに南方にある都市ウダイプールへ行き、RBIの現地での活動を実際に見る予定でしたが、治安状況の不安から取り止めるようチャウダリさんから要請され、これに従いました。
現地へ行く私たちが危ないというのではありません。
外国人多数の訪問者が、宗教的な反発や外国人に反感を持つ人々を刺激して、現地で活動するRBIの人ちちに危害が及ぶ恐れがあるとのことでした。
クコパジャイ牧師 |
私たちはそのかわりに、ジャイプールの郊外にあるRBIの新しい施設の建設予定地を見てきました。
まだ何もない野原でしたが、チャウダリさんの説明では、ここに近隣の農村の人々のための診療所や学校、それに貧困が原因で転落した女性たちの授産施設などを作る計画だそうです。
チャウダリさんは、RBIの活動でも先頭に立って活躍していた最愛の息子を最近交通事故で亡くしましたが、その悲しみやそのほか幾多の困難を乗り越えて、新しい計画に挑んでいるその情熱には胸を打たれました。
さてジャイプールを発った私たちは、つぎにカルカッタに向かいました。カルカッタはマリア・テレサが献身的な活動をした土地として知られていますが、人口急増に悩む農村から流入する貧しい人々が目立つ大都会です。
日曜学校の子供たち |
従って、マリア・テレサだけでなく多くの団体がこうした人々への援助活動をしています。
私たちは謹かな時間でしたがパートナーズと協力関係にある西ベンガル福音宣教会に立ち寄りました。
ここではやはりヒンドゥ教徒からキリスト教徒なったビブカナンダ・クコパジャイ牧師が中心になって、宣教活動のほか子供たちの教育などに力を注いでいます。
私たちが訪れた時、日曜学校の子供たちが集まって歓迎してくれました。
この子供たちがすくすくと育ち、学校にも行けるようになるのに、パートナーズの善意が少しでも役に立てばという思いを噛みしめながら、私達は最後の目的地ミゾラムに向かったのでした。
SAC会員の異動 (通信 第36号 1998年7月 掲載以降、敬称略・アイウエオ順)
新入会者:加藤こう、国見俊介、白仁百合子、山根恵子
田園調布教会シオン会(婦人会)有志32名による8グループ
退会者:石原康彦・清美、上野亘、村上七重
1999年度の<国際評議員会議>(International Council Meeting)
於 カナダ、オンタリオ州、ナイアガラ・オン・ザ・レイク
(トロント市の南、ナイアガラ瀑布の東20km)
9月27・28・29日開催
日本からは草野理事長と草野(道)・宮澤・鳥海の三理事が出席予定
クリスチャンパートナーズのホームページが完成に近づきました
ぜひご覧くださって、ご意見をお寄せください
www2.wbs.ne.jp/~kusano
【理事会報告】第102回理事会は1999年6月3日一ツ橋学士会館で開催。前回議事録承認。1999年3・4・5月度会計報告承認。1998年度決算見込み了承。通信第40号の内容について協議、7月下旬発送予定。理事改選の手続きを改善し、必要書類を6月8日に会員宛て発送。
投票期限は6月30日。会則改訂につき協議、年度始めに新会則を会員に配布する。上野顧問退会。田園調布教会会員16名がグループで参加し里子4名を援助開始。同会員の森本貞子氏を理事候補に推薦。
第103回理事会は1999年7月16日一ツ橋学士会館で開催。新理事・新監事紹介。前回議事録承認。1999年6月度会計報告、1998年度決算・1999年度予算承認。松本理事再任辞退の申し出を受理し、顧問就任を依頼。今後英文議事録は岩崎理事が作成する。改訂会則承認。ホームページ作成状況報告。ロバン村より具体的な案の通知があり、シンガポールから月65万ルピアの送金を開始。通信第40号原案協議、記事の訂正・追加をして7月24日発送予定。第104回理事会は1999年9月10日(金)一ツ橋学士会館で開催予定。
<編集後記>暑中お見舞い申し上げます。新しい理事・監事を迎えて、1999年度の一歩を踏み出しました。皆様のご期待にそえる活動を展開していきたいと願っています。お祈りください。
インドネシアの選挙はようやく結果が出たようですが、政治は今後どう変化するのでしょう。これが西カリマンタンの里子たちにどんな影響を与えるかは分かりませんが、東チモールのような問題はなくても、常に民族・部族間の対立が埋もれ火のひょうにある国で、ロバン村に住む中国系客家の流れを汲む人々の生活が少しでも向上することを望んでいます。
お元気で、楽しい夏休みでありますように。 (鳥海百合子)
クリスチャン パートナーズ 1998年度決算 | |||
1998年7月1日~1999年6月30日 | |||
収入の部 | 前年度 繰越 | 2,669,751 | (単位円) |
SAC援助金 | 2,780,000 | 注1 | |
その他援助金 | 697,600 | 注2 | |
雑収入 | 4,664 | ||
合 計 | 6,152,015 | ||
支出の部 | SAC援助金 | 2,183,000 | 注3 |
同労諸団体協力 | 351,000 | 注4 | |
緊急援助金 | 0 | 注5 | |
進学奨励金関係 | 30,000 | 注6 | |
広報・通信費 | 149,920 | 注7 | |
事務経費その他 | 109,454 | ||
緊急援助準備金 | 400,000 | ||
進学奨励金積立金 | 300,000 | 注8 | |
事業開発基金 | 2,000,000 | ||
合 計 | 5,523,374 | ||
次年度繰越 | 628,641 |
注1 里子数は98年6月51名、99年6月61名。誕生日・クリスマス祝い金を含む。
注2 《サンタの会》からの22万円を含む。
注3 誕生日祝金3万3千円、クリスマス祝金4万円を含む。
注4 ミゾラム養護施設へ30万1千円、安海師関係インドネシア宣教運動5万円。
注5 1998年度は緊急援助の要請がなかった。
注6 進学奨励金制度の導入準備
注7 ホームページ作成費57,547円を含む。
注8 今年度より特別会計として別に扱う。
理事の現地訪問、その他海外での行事参加費用は個人負担。
今回1998年7月1日より1999年6月30日に至るクリスチャンパートナーズの会計年度の監査をいたしましたところ、諸援助金の受領・領収書の発行・台帳記帳、ならびに援助金の海外送金・諸経費支払いの証拠書類・台帳記帳及び理事会に対する報告書・年度決算書等は何れも正確且つ適切に処理されており、予算は諸状況に応じ、会の趣旨に沿って適切に運営されていることを認めました。 会員の皆様の一層のご協力をお願い致します。 クリスチャンパートナーズ 監事 鈴木初代 印 |
クリスチャン パートナーズ 1999年度予算 | |||
1999年7月1日~2000年6月30日 | |||
収入の部 | 前年度 繰越 | 628,641 | (単位円) |
SAC援助金 | 2,960,000 | 注1 | |
その他援助金 | 500,000 | 注2 | |
合 計 | 4,088,641 | ||
支出の部 | SAC援助金 | 2,240,000 | 注3 |
ロバン村援助金 | 120,000 | 注4 | |
ミゾラム援助金 | 200,000 | 注5 | |
神学校献金 | 50,000 | 注6 | |
進学奨励金 | 120,000 | 注7 | |
広報・通信費 | 200,000 | 注8 | |
事務経費その他 | 100,000 | ||
特別会計繰り入れ | 200,000 | 注9 | |
合 計 | 3,230,000 | ||
次年度繰越 | 858,641 | ||
特別会計 | 事業開発基金 | 2,000,000 | |
緊急援助準備 | 500,000 | ||
進学奨励金積立 | 400,000 |
注1 60人×4000円×12ヵ月+8万円(誕生日・クリスマス祝金)
注2 昨年度実績とほぼ同額
注3 60人掛ける3000円×12ヵ月+8万円(誕生日・クリスマス祝金)
注4 ヤップ牧師へ月1万円
注5 ミゾラムへ3ヵ月ごとに5万円
注6 安海師関係のインドネシア宣教活動へ
注7 SAC終了後の主として高校進学以上を対象。引き続き研究中
注8 「通信」年4回発行予定。ホームページ開発5万円。
注9 緊急援助、進学奨励金に各10万円
新任理事 森本貞子 (田園調布教会)
新任監事 竹澤三佳子 (静岡一番町教会)
松本繁雄理事は健康上の理由で今期理事の再任を辞退されました。
当会発足からのご奉仕を感謝申し上げます。今後は顧問をして引き続きご協力いただきたいと希望しています。