クリスチャン パートナーズ
通信 第41号
発行日/1999年11月20日
年次総会に出席して <国際評議員会報告>
今年の総会はカナダのパートナーズインターナショナルの主催で、9月27日~29日、トロント市の南180kmのナイアガラ・オン・ザ・レイク(Niagara-On-The-Lake)で行われました。
有名な「ナイアガラの瀧」からは10kmほど東になります。ヴィクトリア朝風の外観を残したオバン・インという中型のホテルが会場で、各国の評議員と職員が連日会議・会談・交歓をしました。日本からは私と草野道子・宮澤・鳥海の3理事が出席しました。
全員集合!家族も職員も一緒に |
今回の中心的な話題はまず、米国PIの理事長チャック・ベネット氏が8年の任期を終え、新進気鋭のポール=ゴードン・チャンドラー氏後任となったことです。宣教師の息子としてアフリカで生まれたチャンドラー氏は、英国国教会の司祭の資格を持ち、聖書協会世界連盟でも働いたNGOの経験豊富な人物のようです。
最も力のある米国PIの若い指導者に期待するところ大です。(PI=パートナーズインターナショナルの略)
私たちにとって一番関係の深いシンガポール事務所が米国PIの傘下から独立し、責任者のポール・チャン師が評議員になったことは、重大な決議でした。
評議員たち |
すでに昨年方向が決まっていたことですが、今回特に、宣教は資金作りの主体とは別の、現地の宣教者に委ねるというPIの基本理念にシンガポールの運営も同調していく態度を明確に宣言して、実務的な推進力に加えたのです。
オーストラリアPIのアーサー・シンデル氏がこの調整の影の功労者でした。
英国紳士の風貌で穏やかな人柄の同氏は、地理的にも近い東南アジアに親近感を持っていると思われます。
オーストラリアPIの責任職員デイヴィッド・コーエン氏は英国国教会での経歴もある学識豊かな人で、アフリカ諸国を歴訪し、南アフリカやニュージーランドにPIを組織するのに尽力しました。
報告する理事長 |
オーストラリアと日本とはアジア諸国と近い立場にあり、ヨーロッパに起きたコソボ紛争やトルコ大地震における救援活動の報告がありました。
隣国マケドニアに流入した3万人といわれる難民の受け入れとその帰還支援、捕虜・負傷者・失業者への働きかけ、イスラム教徒であるアルバニア人の心を動かした献身的なクリスチャン家庭の実例や、英国から直接トラックで送り出されてトルコ大地震の救援物質等々。
また、スーダン・中国・フアテマラ・ホンジュラス・ニカラグアにおける内戦や自然災害の中で活躍したスタッフの様子や、宣教的効果も語れました。
これらの活動に対して米国・カナダ・オーストラリアのPIから寄せられた援助金は25万ポンドに達したとのことです。
結成1年のニュージーランドPIのトニー・ハン氏も、南アフリカのギゼラ・ニコルソン夫人も、まだ専属の理事や職員がいない小さい組織の運営の難しさを述べていましたが、日本の現状に相通じ親近感を持ちました。
日本からは<How is guiding P.I.Japan>という題で、昨年に引き続き具体的なプロジェクトの進行状況を報告し、関係するPIの協力を求めました。
いずれも既に『通信』でご承知の、ロバン村での宣教協力、SAC終了後の奨学資金およびミゾラム州の養護施設における英語教育等であります。日本からの援助はいまだ揺籃期にあり、量よりも質的開発を目標にしている旨を強調しました。
ホームページ作成が間に合って、アドレスを公表できました。
宮澤、草野道子、理事長、鳥海(ホテル入口にて) |
最後に、今回主催PIになったカナダの評議員グローヴァー・クロスビー理事長と職員に敬意を表したいと思います。
わずかな人数で企画・準備・実行の全てに気を配るのですから、容易なことではなかったでしょう。
第1夜には100名近くの関係者を招待したレセプションが開催されました。空港への送迎に加えて、同伴した家族のためのプログラムまで用意されていました。
会議の参加者同士は、国際親善とクリスチャンの同労者愛を確認し、世界が利害関係だけで働いているのではないとの感慨を深くしました。
パートナーズとの出会い
~『通信』の英訳を通して~
アメリカへきて9年が過ぎました。主人の仕事で初めはシカゴ、つぎはボストン、そしてこのカリフォルニアに越してきて丸6年になります。
ボストンの教会でお世話になったビル・ロング夫妻は、カリフォルニアに誰も知り合いのいない私たちのために、「ここを訪ねてみたら」と言ってパートナーズインターナショナルの住所と電話番号を持たせてくれました。そこの責任者、チャック・ベネット氏とは長い間の親友だとのことでした。
田代 福美子 |
引っ越しするたびにまず私たちがすることは、住む家と教会探しです。教会は礼拝に出てみるのが1番いいので、毎週のように違う教会を訪ねました。車でちょっと走っただけで、いくつもの教会があります。
それぞれに特徴があって決めかねていた時、「そうだ、ビルが言っていたパートナーズインターナショナルにちょっと行ってみようかな」と思いつき、早速予約の電話をしました。
何も具体的な用事があるわけでもない見も知らずの私のために、中国人のエスターという方が快く中を案内してくださいました。そろそろ失礼しようかなと思っていると、これから宣教師を送る壮行会のランチがあるから出ないかと誘われ、また図々しく残ってしまいました。
エスターが職員のジーン・パタソンさんを紹介して「この人はサラトガの教会でクワイアのメンバーなのよ」と言われ時、えっ!サラトガの教会?クワイア?サラトガ市に住み始めた私には、これこそ神様のお導きじゃないかしらと確信に近いものが感じられ、早速次の日曜日、彼女の教会に行ってみました。
主人も私もその暖かい雰囲気と牧師先生の、まだ半分も聞き取れないお説教に満足し、またそれほど大きくないクワイアも気に入って、そこに出席することに決めました。ジーンのお陰で、すぐクワイアにも入ることができました。
そこの教会員でいらっしやるフィンリご夫妻にお会いしたのは、それから間もなくでした。ジーンはお二人と親しいので、ある日の礼拝後、私を紹介してくれました。
フィンリー夫妻と宮澤理事 |
私が日本人だということがルース夫人の頭に残っていたのでしょう、しばらくしてお手紙をいただき、クリスチャンパートナーズから時々来る『通信』を訳してもらえないかとお頼まれし、私でもお役に立つのでしたらとお引き受けすることにしました。
『通信』の中に初めて宮澤さんのお名前を見ときは驚いて、ルースにその話をしましたら、彼女とは長年の親しいお友達よといわれ、Small Worldと感じましたが、最新号で、は森本さんが新しく理事になられたと読んで、またびっくりしたり、喜んだりでした。なにかパートナーズインターナショナルを一段と身近に感じる昨今です。
考えてみれば、事務所を思い切ってお訪ねしたことが今の教会生活につながり、すてきなフィンリー夫妻とお知り合いになれたのだと、神様の不思議なお導きを感謝せずにはいられません。
(田代さんは、宮澤理事とは大学のクワイアで、森本理事とはPTAでの親しいお仲間でした。)
躍進するカナダPI
―カナダPI年次報告より―
クロスビー理事長の指導のもと、カナダPIの理事会・職員は大活躍、募金の成果は昨年を15%増、2000年末までに200万ドルという希望を1年早く達成しそうな勢いです。援助する地域も11箇所になりました(インド2、アフリカ2、インドネシア、レバノン、ネパール、パキスタン、ドミニカに自国のトロント市)。
カナダPIの活動で私たちと関わりのあるのは、ミゾラム州の養護施設「ヘルモン子供の家」の英語教育への援助です。「サンタの会」からの援助金はカナダPIを通して現地に送られます。
グローヴァー・クロスビー夫妻 |
カナダPIは施設全体の運営を援助・指導していて、日本からの援助金が有益に用いられように配慮し、現地の報告や希望を日本に伝えてくれます。
ミゾラムの人々は音楽的才能に恵まれ、その聖歌隊は高い水準を誇っているそうです。カナダPIは「ミゾクワイアー」を招聘、全国を巡る演奏旅行を企画してパートナーズの活動を紹介し、募金への勧誘を行っています。
来年はインドネシアの神学校を拠点に音楽活動をしている合唱団を招く予定で、機関誌には伝統楽器を持ち衣装を着けて合唱団の写真と、半年間北米を回るスケジュールが載っています。
2年に1回カナダPIが計画する視察旅行には、1996年に理事長が、この春には岩崎理事が参加しました。カナダPIはこの旅行によって、現地で行われている宣教運動を多くの人に直接見てもらい、恒久的な支援者を得ようと努めているのです。
私たちを空港まで出迎えてくださった職員、ブライアン・リース師の言葉「私たちは、PIの活動に援助するという特別な恩恵(privilege)を多くの方々にお知らせしようとしているだけなんです」は、カナダPIの精神をよく表しています。
(文責鳥海)
【理事会報告】第104回理事会は1999年9月10日一ツ橋学士会館で開催。前回議事録承認。1999年7・8月度会計報告承認。1年間音信のない会員は退会扱いとすることに決定。通信第41号の内容を協議、次回理事会で原案を検討する。現在、里子61名に里親がつき、9名待機中。カナダPIから「ヘルモン子供の家」の運営状況についての報告。
ホームページの内容原稿を回覧。後藤宣教師、査証を取得し再びインドネシアの神学校へ赴任。◎顧問の安海靖朗牧師を招き、最近のアンテオケ宣教会の活動、インドネシアにおける神学教育などについてお話をうかがった。
第105回理事会は1999年11月15日一ツ橋学士館で開催。前回議事録承認。1999年9月・10月度会計報告承認。通信41号原案を承認、11月20日発送予定。奨学資金計画具体化のため1年分12万円、ロバン村生活改善計画のため3ヵ月分3万円、ヘルモン子供の家英語教育のため10万円をそれぞれ送金。
トルコ地震・コソボ難民のため救助活動中の英国PIに支援金5万円を送る。里子からのクリスマスカードは各理事の手で配付済。
通信第42号の原案は次回理事会で協議、1月末発行予定。第106回理事会は2000年1月21日一ツ橋学士会館で開催予定。
<編集後記>今秋評議員会議に初めて出席し、今まで印刷物の中の名前でしかなかった各国の理事・職員たちと親しく語り合機会が与えられ、大変うれしく思いました。
インドネシアでは新大統領・新内閣が発足しましたが、西カリマンタンの里子たちやその家族、教会、神学校にとって好ましい変革が行われるよう祈ります。向寒の折、くれぐれもご自愛ください。
少々早いようですが、クリスマスのお祝いを申し上げます。
(鳥海百合子)