クリスチャン パートナーズ
通信 第43号
発行日/2000年 6月16日
東南アジアパートナーズインターナショナルの新しい歩み 2000年5月
私たちと親密な関係にあるシンガポール事務所は、昨年秋の評議員会議で東南アジアパートナーズインターナショナルとして承認されました(PI Southeast Asia=PISEA)。
今までの働きに加えて、独自の活動を開始したようすを伝える報告書『ハイライト2000年5月』が届きました。以下にその要約をご紹介します。
★麻薬中毒者のリハビリ(チェンマイChiangmai)
タイの国境地帯は麻薬製造の温床で、多くの人がその中毒になっています。
郷土音楽の演奏 |
PISEAに属する北タイの団体ではそれに対処するため、1995年に土地を買って福音に基く麻薬中毒リハビリセンターを開所しました。
この5年間に、主の御手の導きで毎年10~20人の青年・成人が麻薬と縁を切り、新しい命を与えられました。
センターに置かれた郷土音楽の楽器は、音楽の演奏を通して神を讃え、証をするというすばらしい機会を中毒者たちに与えました。
彼らが技術を身につけ自立することができるように、工芸技術の指導ができる設備の建設を計画しています。また、日曜礼拝に彼らを教会に連れていくための車を得られるように祈ってください。
★少数民族への伝道(チェンマイ)
レラッフ族(Red Lahu)の人々との接触が進められ、福音伝道に有効な方法が見つかりつつあります。
パヤオ聖書学校で学んでいる新しいワーカーのジャタン・メーサリ(Jatan Meesari)や、研修中の女性牧師ワッサナ・ラフ(Wadsana Lahu)が、この人々の中で奉仕する知恵を主が授けてくださいますように。
★マレーシア研修センター
センターでは年初の3ヵ月間で、すでに13,000人以上に福音を伝えることができたので、年末までにはもと多くのひとびとに宣教できるでしょう。
福音伝道と伝道者養成の面で教会を助けている研修センターの職員は、研修の機会を提供するため、広範囲に訪問旅行をしなければなりません。
★海の民(Orang Laut)※への伝道 ※交通困難な隔絶した海浜に住む人々のこと
子供たちの日よ学校を始めたところ非常な反響があり、毎日曜日20人も出席しています。神が引き続きこの子たちの心に働きかけてくださり、彼らが因習から解き放たれる世代に育っていくよう祈りましょう。
今まで福音が伝えられなかったこの人々のために働く女性のワーカーを求めています。海の民の中で働く夢を持ったふさわしい人が、必要な時に与えられますように。
★ワ族(Wa Tribe)への宣教(ミャンマー)
ミャンマー政府は、2005年までに世界一の麻薬生産地域を麻薬なし(drug-free)地域に変えるため、アヘン栽培地域から5万人の住民を移住させるという前代未聞の政策を実行しようとしています。
その結果、PISEAのワーカーがいるワ族の村いくつかが黄金三角地帯まで旅をしなければなりません。
ワーカーは、新しい土地でも福音宣教の機会があるだろうと感じています。
移住した人々が、合法的な作物を家畜によって生計をたてらえるように、そして、心を開いて福音を受け入れるように祈ってください。
★【豊かな命】(Abundant Life)センターでの活動 (タキレークTachileik)
1) 福音宣教集会 3月20日~24日、第二回福音キャンプが開催されました。18教会と166名の若い人々が参加し、そのうち16名が洗礼を受けました。
PISEAと共に働く人々59名が生涯主に仕える医師を表明しています。
リハビリセンターのヤン・ファソン牧師夫妻 |
主の恵みと聖霊の働きと、遠方から来てこの会のために祈り奉仕した人々があったことが、この会を成功させたのです。
2)伝道旅行 3月28日から4月4日まで、ヘ・リン・シエン(He Ling Sheng)牧師に引率されたベテル聖書学校(Bethel Bible College)職員のミャンマー・ラオス福音宣教団が、ラオスとミャンマーの国境地域に行き、アカ族とラフ族の人々に福音を伝えました。
その辺りには20万から30万のアカ族の人々が住んでいて、彼らは少数民族の中で二番目に大きい部族です。
320村を訪問しましたが、教会は一つもありませんでした。彼らは生活のためにアヘンを栽培していて、収穫が沢山ある地域です。
この人々に福音を伝えるにはどうしたらいいか、それがPISEAの夢であり任務です。
3) 麻薬中毒リハビリセンター PISEAとNGO【夜明け作戦】(Operation Dawn)の協力が軌道に乗り、彼らが管理・経営を、その他のことはPISEAが担当することになりました。現在ワ-カーは3名です。
★ ミャオ族(Miao Tribe)への働きかけ(ラシオLashio)
ミャオ族の人々は、ミャンマーの中国国境に近い山岳地帯に広く散らばって住んでいます。ラシオに移住してきたミャオの人々は4万から5万人です。彼らはアニミズムを信じ、偶像を拝んでいます。
民族衣装のミャオ族学生 |
ラシオにいるPISEAのワーカーは、このミャオの人々の中に学生センターを建設し宣教活動の足場としたい夢を持っていましたが、なかなか土地が得られず計画の実行が遅れていました。
しかし、宣教運動のために10年間土地を貸してくれるミャオ続の兄弟が現われ、二組の夫婦がもうこの企画のために働いています。
彼らは学生募集を2月に開始し、学生センターは4月に活動を始めました。このワーカーたちがミャオ族の学生とその親たちに福音をのべ伝える知恵を与えられるように、祈ってください。
英国パートナーズインターナショナルの活躍
【ワールドシェア】※のホームページより
5月14日現在のホームページ冒頭には「SOSモザンビーク:モザンビークはあなたの援助を必要としています」という呼び掛けが出ています。
南東アフリカの開発途上国モザンビークは去る3月、大きな洪水禍に見舞われて多数の死者を出した上、何千戸もの家屋が流失しました。
南アのヘンドリック・マラング牧師(Hendrick Mahlangu)が現地から【ワールドシェア】に送ったEメールによると、避難施設に入れず被災地に残っている人々も多く、水と泥に半ば埋まった家で暮らしており、とくに病人や老人にとって救援の食料や飲み水を受け取りにいくことが容易ではないようです。
また悪疫の発生が予想される中で、医師不足や災害による交通障害のため、被災地に医師がほとんど入れない状態だということです。
ヘンドリック牧師は他の牧師たちと共に被災地を回って、人々に慰めを与え、幾ばくかのマラリア予防薬を渡してきたそうですが、1人でもボランティアの医師がいてくれたらと痛切に思ったと述べています。
【ワールドシェア】は災害の発生を知ると時を移さず募金を始め、一ヶ月で6万5千ポンド(1,080万円)を集めました。
この義援金を元に救援物資の現地配送センター、孤児への給食施設の開設、被災地への衣類の発送、食量用とうもろこしの配給、孤立している人々への医療品・援助物資の配付手段の確立、道路修復への援助、ツォンガ語(現地語)聖書千部の購入などの活動をおこなっています。
また、英国から現地へ衣料を送る人々に託送の手配もしています。
モザンビークは世界最貧国の一つで、長く続いた内戦が終わってようやく立ち直ろうとしていた矢先の災害だっただけに、海外からの素早い援助が必要でした。
この他【ワールドシェア】は、コソボ紛争の避難民を受け入れているマケドニア、大地震のトルコなどに対し、現地のパートナーズを通じて援助活動を行っています。これには私たちクリスチャンパートナーズも義援金5万円を送って、【ワールドシェア】の活動に協力の意を表しました。
※「世界と苦労を分かち合う」という意味です。
ロングボート |
こうした緊急性の高い救助活動の他に、【ワールドシェア】はナイジェリアでのSAC活動をはじめ、地味な息の長い援助や宣教の手助けを各地で続けています。
1月発行の機関誌「ウィンドー」(Window)では、インドネシアの中部カリマンタンで働くダヤク族のヨハニス・サカイ伝道師(Yohanis Sakai)について伝えています。
ダヤク族※はカリマンタン島に古くから住み、後から移住してきたマレー系や中国系の人々となかなか馴染めず、大半が都会から遠く離れたところに住んでいます。
ヨハニスさんは川沿いのジャングル地帯に散在するダヤク族の村々を訪ねて伝道していますが、日常の交通機関であるロングボートで最寄の町から3日という僻地です。
カリマンタンでは他にカナダ・シンガポール・オーストラリアのPIが日本と共に活動しています。
※ 私たちの里子の中にもダヤク族の子供がいます。
わたしの里子たち
マルクス・エディは、私の4人目の里子です。8年前の入会以来、勉学が嫌いになってしまったブイ家族の転居に伴って援助が受けられなくなったイシャーク、めでたく中学を卒業したアンドリアヌスの3人を経て、2年前からエディの里親になりました。
マルクス・エディ君 |
彼は今、中学の3年生。カソリックの信者で農業を営む両親と、2人の弟、そして兄と妹の5人兄弟の2番目です。
写真で見ると彼はキリッとしまって、いかにも利発そう。将来が楽しみになるような少年です。得意の科目は物理で、サッカーも大好きです。
教会にも熱心に通っているようで、毎年心のこもった素敵なカードを贈ってくれます。
度重なる彼の地の災害や暴動のニュースには、心が痛みます。私の4人の里子たちと、すべての子供たちの無事を祈って止みません。
石渡幸子
【理事会報告】第107回理事会は2000年3月17日一ツ橋学士会館で開催。前回議事録承認。2000年1月・2月度会計報告承認。
通信第43号の内容協議。シンガポール事務所からのミャンマー訪問報告の和訳が出来、その扱いについて協議。PISEAとの協力関係の強化、活動支援。
SAC卒業生対象の奨学金制度については、シンガポール事務所を通して協議中。里子の手紙が到着、配付。第108回理事会は2000年5月19日一ツ橋学士会館で開催。前回議事録承認。2000年3月・4月度会計報告承認。
通信第43号は原案を理事に郵送して協議、6月16日発行。第44回は年度末につき決算予算を中心に、次回に内容を協議の上、7月末発行の予定。東京女子大学同級会名簿に、前回の広告原稿にEメールアドレス等を加えて掲載する。
会員相互の交流を目的とする会合の計画。明年2月頃に開催予定で講師の選考などを始める。
ロバン村の医療サービスは医師が不在となり中止との連絡あり。2000年度予算原案について話し合う。
第109回理事会は2000年7月14日(金)一ツ橋学士会館で開催予定。
<編集後記>今回は世界各地に展開する姉妹団体の活動をご報告しました。
次回には西カリマンタンの里子たちの様子をお伝えできればと願っています。梅雨に入りました、お大事に。
(鳥海百合子)