クリスチャン パートナーズ通信 第53号発行日/2002年6月17日 新しいアプローチ理事長草野計雄
今回のパートナズインターナショナルの国際評議員会議は、トルコで行なわれました。 米国・英国・カナダ・オーストラリア・シンガポール・日本から、代表者・職員・その家族など約30名が参加しました。 4月27日、イズタンブニルでトルコ航空に乗り経ぎ約1時間でイズミール市へ、さらに車で南へ1時間、夕方には、エーゲ海を望むクシヤダスの海岸のホテルに到着しました。翌28日、一行は地元の教会を訪ねて聖日の礼拝を守り、午後はエフェリ市の遺蹟を見学して、遺された偉大な繁栄の歴史を偲びました。 現在トルコはきわめて熱心なイスラム教の国ですから、キリスト教伝道は厳しい社会的環境下にあります。そのような地にある教会を励ます効果も視野に入れた、会場設定であったのでしょう。世話役は英国の評議員ジョン・ローズ夫妻です。 各国のパートナーズからの報告の間には、かつてイスラム教徒であった英国の評議員のお話や、トルコにおけるキリスト教宣教状況、エイズ対策の討議などが組み込まれていました。しかし講師の写真は出版物に載せないようにとのことでした。
本会議は翌29日、つばめ飛び交う浜辺での早朝7時の祈祷会から始まり、2日目の30日の午後3時頃には事実上終了しました。 従来の国際会議に比較して、重点審議のない感じを受けましたが、参加者間における情報交換や討議が普段から日々のEメールなどによって、逐次迅速かつかなり深くまで行なわれていて、基本的方向もその過程の中で形成されている結果ではないかと思われました。 これからの国際会議はますますこういう傾向になるのではないでしょうか。その中で特に印象的だった点をご報告したいと思います。 (holistic minlstry)という言葉が随所に出てきました。強いて訳せば「総体的宣教」となりましょうか。 これは従来のパートナーズインタTナショナルの福音宣教の姿勢に大きな修正を加えることを意味します。 言葉による宣教だけでは、経済的に困窮している人々に対する効果はきわめて少ない、教会自体がその地域の生活改善にもっと貢献していかねばならぬという主張であります。 すでに、福音の証を中心とした伝道における西欧先進国の役割は終わり、資金作りとその提供に専念して、宣教は現地に育った伝道者に任せるべきであるといわれて来たのですが、その過程から(holistic ministry)の要請が生まれてきたようです。 そして先進国からの新たな寄与が期待されるようになってきたと思われます。
(holistic)な伝道方針を採る現地の開拓的教会造りのために、パートナーズインターナショナルは初期投資的金融支援を考えました。 例え一つの単位は小さくても自力で生きていく目標を立てるように指導し、達成できたら徐々に融資を返済してもらって、さらに次の(holistic)な教会の開発に援助を回していく、それとともに、達成団体に対しては適切な生産報奨のシステムを残してその定着を図ろうというのです。 この計画はすでにMicro Enterprises Project(MEP)と呼ばれて、今年度は西カリマンタンのボンティアナック学生センターやコタバル教会、カンボジア大学、タイの麻薬中毒者更生施設、ミャンマーではヤンゴンの高校センターなどで実施目標を設定するまでになっています。各地のパートナーズからの報告は、皆さんへの祈りの依頼で終わっています。 現地の人たちを、自主的に生活の糧が得られるように教育し、日々の生活に追われる不安から解放して、信仰による救いに目覚めてもらうという総体的(holistic)な目標が、その地に根を張る宣教だというところに辿り着いたのです。 パートナーズの中で一番大きな団体である米国では、この体制を支援するため組織全体で準備をしています。まず本部の移転を終えてコストを削減、情報設備を充実し、資金援助だけでは行き届かなかった部分一宣教組織力・財務管理カ・所得増強・専門知識取得などに焦点を当てて行くと言っています。 今回提出した日本からの報告書では、西カリマンタンにおける奨学金制度の設置・運用を軌道に乗せることが第一の懸案であると表明していますが、これも(bolistic)な援助といえましょう。そういえば10年以上まえ、西カリマンタンで同労者のチヤイ氏が「もっと日本の人が来て、農業や水産などの技術指導をしてくれるといいのですが」と嘆息していたことを思い出しました。 ちなみに、シンガポール事務所が管轄するアジア地域における各国パートナーズの寄与割合は、シンガポール29%、米国29%、オーストラリア15%、マレーシア10%、カナダ4%、英国3%、日本2%、香港0.4%、その他7.6%です。金額的には2%ですが、私たちは西カリマンタン、特にロバン村に援助を集中している特殊なグループです。キリストの愛の精神に基づいて、地に足の着いた提助になるように常に願っている私たちにとって、今回の会議は将来の在り方についていろいろ参考になる情報を提供してくれたのでした。 皆様の活発な発想に期待します。 パートナーズインターナシヨナル
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セルシウス図書館跡で、木ノ内監事 |
1869年に初めて発掘されて以来、世界中の技術者によってエフエソ市の遺跡発掘が進められ、現在ではほぼその全容が明らかになっています。
エフェリの歴史は古く、紀元前10世紀頃にアナトリアと呼ばれるこの地域に、エーゲ海の島々から移住した部族によって始まったとされています。
その後、ペルシャ、ギリシャ、ローマとさまざまな隣国の支配下に置かれましたが、いずれもエフェリの自治を認めたので、ギフエソは独自の経済力を維持し続け、文化・芸術を発展させていくことができました。
エフェリの繁栄は、紀元前27年にローマ皇帝となったオクタビアヌス(後にアウグかウスと改名)によってもたらされました。
彼がこの地をペルガモンに替わるローマ帝国の属州の首都としたので、エフェソはアジアを代表する主要都市のうち最大のものとなったのです。
展示品には紀元前2世紀から3世紀にかけてのものが最も多く、その文明の高さを物語つていました。特に、各種の医療器具・精巧に出来た装飾品・化粧品の数々には目を見張りました。紀元前1~2世紀には既に大規模な医学校があって、診断学・解剖学・医療用具の製作法などを教えており、医学書の一部と思われるものも展示されていました。
アルテミス女神像(上部) |
新約聖書で、パウロが「手で作ったものなどは神ではない」(使徒言行録19:26)と言って、真実の神に立ち帰るよう人々を諭した神殿から、発掘されたアルテミス女神像を日のあたりにした時は、まさしく聖書の世界を垣間見る思いでした。
大理石で出来た女神像は2000年を経た現在もほとんど損傷なく、勝ち誇ったような眼差しで手を差し伸べていました。
その他は、公共施設としての水場・浴場から出土したギリシャ神話の神々や移り替わった施政者の彫像が大部分でした。
その日は聖日でしたので一同でプロテスタント教会に出席し、地元の方々と共に礼拝を守りました。トルコ語での説教は理解できなかったものの、イスラム教からキリスト教に改宗されたその牧師の熱意は十分伝わってきました。また、若い方々のギター伴奏と指導で、トルコ語の讃美歌を共に歌うことができました。
礼拝後、屋上でトルコティーとクッキーを項きながら教会員の方々と歓談し、そのあとエフェソの遺跡を見学に行きました。想像以上に広範囲で、その規模と当時を偲ばせる建築物の数々に驚きました。
アルテミスを始めとする様々な神殿跡、集会広場や円形劇場、セルシウス図書館等の公共施設は、いずれも緻密な設計に基づき、大理石を素材として、装飾の施された見事な建築物でした。
く聖母マリアの教会〉遺跡 |
訪れたいくつかの教会遺跡の中で最も印象的だったのが、く聖母マリアの教会〉と言われるキリストの母マリアに捧げられた最初の教会です。アーチの付いた扉を開けて教会堂に入ると、2世妃に作られた長さ260メートル~幅30メートルのこの建物の北側には、水槽のある洗礼場も備えられ、回廊には色鮮やかなモザイクが敷き詰められていました。
この教会堂は431年にキリスト教の教義を討論するための宗教審議会が開催されたことで知られています。その審議会では、聖母マリアが神の子イエスの母親か、人間イエスの母親かが討議されたと聞き、キリスト教史の大切な地点に立っているとの思いを持つことができました。
大理石の敷石を踏みしめながら、約2千年前、この同じ通りを歩いたであろうパウロの心中を思いました。多神教崇拝のこの土地てパウロは最初の伝道者として困難にもめげず大胆に宣教の業を続けたのです。けしの真紅の花が咲き乱れた小さな教会跡に刻まれた十字架を目にした時、パウロの熱い思いに触れられた気がいたしました。 (続く)
【理事会報告】第120回理事会は2002年5月16日(金)一橋学士会館で開催。前回議事録承認。2002年3・4月度会計報告承認。
「通信」第53号はトルコにおける国際評議員会議の報告を理事長と木ノ内覧事にお願いし、原案を理事に郵送して承認を受け、6月中旬発行予定.里子の手紙は今回は英語訳添付のまま配布する.神学校の教師給与への支援(年10万円)の実行を、安海牧師と協議する。第52号に載ったロバン村教会の要請(ピンポン台・ギター・教科書)に応えて、シンガポール事務所に連絡し送金する。理事長と木ノ内監事から、会議と視察族行の興味深い報告をうかがった。第121回理事会は2002年7月19日(金)一橋学士会館で開催予定
<編集後記>木ノ内監事の旅行記、次回に続きます。ご期待ください.西カリマンタンでも、MEP(小規模企業金融支援)が効果を上げているようです。村単位で山羊を飼って増やして売ったり、乳や糞を活用して生活向上に役立て、教会堂建築を実現したり…。会議に提出された年次報告について、またお知らせします.やっと梅雨に入ったようです、くれぐれもお大事に。
鳥海百合子